camera obscura

1984

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Olympus Pen FT / Zuiko38mm F1.8 / Tri-X / gelatin silver print(bleached)


古い写真を整理していてついつい懐かしくなりupしてみました。
撮影したのは1984年、ん〜、今からもう24年前にもなっちゃうんですね...
19歳になろうとする夏、北海道への旅の途中青函連絡船の待合室で出会
った光景です。このプリントを焼いたのはその2年後あたりだから1986年か。
先日アップした Dolly でもそうですが、この頃は赤血塩を利用したブリーチ
手法を多用していました。定着で漂白しない限りハイライトトーンが赤っぽ
く残る独特のトーンが凄く気に入っていたのであります。

この頃は写真と言えば銀塩しかありませんでしたし、モノクロフィルムで撮
った画像にあえて『色』を加えるとするとアナログ的な手法でしかありえま
せんでした。ですから今では考えられない程に写真関係用品店の暗室用品
コーナーにはいろんな薬剤が当たり前のように並んでいました。
それこそ何に使うんだかわからないような試薬までゴロゴロと....
今考えるとかなり危険な薬剤も平気で棚に並んでいたような記憶があります。
その頃もっと熱心に色んな実験をしていれば... と今更ながらに思ったりw

1990頃になって写真・デザイン関係の友人が清水の舞台から飛び降りて
Macintosh II ci をAdobe Photoshop ver2.5(だったと思う)やイラレと
共に購入。合計金額を聞いた時、倒れそうになった記憶があります。
今思い返すとMacやソフトの価格はホント隔世の感。
メモリーの量や価格に至っては笑うしかありませんね。
しかし、初めてMac上でプリントからスキャンしたデータ(今からすると非常
に低解像度だけれど...)を弄くらせてもらった時はとても興奮しました。
「暗室であんなに苦労していた事が、明るい部屋でこんなに自由自在に出来る
なんて、まるで夢のよう!」とホント真剣に思ったものであります。
私が個人でカラーの扱えるMac(笑)を買ったのはその二年後。かなり安くな
ってました。

しかし十数年でここまでPCやソフトの値段が下がり一般に普及するとは想像
していなかったな... ホント便利な世の中です。
逆ににかなり不便になった事も非常に多いのですが...
う〜ん、あの薬品は何処から買おうか.....

物一つにしてもこんな狭い国なのに通販でないと物が手に入りにくい現状とい
うのは頭が痛いものです。流通の効率化によって切り捨てられてしまっている
のもが色々とあります。その切り捨てられた物の上に成り立っていた文化もあ
ります。そこまで切り捨ててホントに良い世の中と言えるのだろうか....
便利さに慣れきってしまっている私達、知らず知らずの内に益々ワガママにな
っしまって行くような気がする今日この頃。







今日のおまけ

1984ではなくて1983にヒットしてた
Eurythmics の Sweet Dreams
アニー・レノックスのオレンジ頭、格好良かったす。懐かしい。


by typologies | 2008-11-06 01:04 | Comments(8)
Commented by uiti6 at 2008-11-06 13:00
こんにちは。
ホントその通りですね。自分でも環境が良くなれば、良くなるほど、
わがままになっていっているような気がします。

上の2枚のお写真、温かみがあってとても良いですね。
デジタルでは表現できない領域だと思います。
時代に逆行し、僕はつい最近、自家現像をはじめました。
ホント学生時代の実験のようで、色々試しながら、楽しんでします。
Commented by typologies at 2008-11-07 18:12
uiti6さん>
こんばんは〜。お久しぶりです。^^
私、デジタルが嫌いって訳ではないんですが、ついついフィルムの方を
使っちゃいます。粒子が好きと言うか何と言うか。
久しぶりに続けて35mm判を使っていますが、35mm判には高精細さは
殆ど求めてません。粒状感あっての35mm判といった感じに使っていま
す。
>>自家現像
自分で現像始めると楽しみと悩みが同時に増えますよねw
色々と奥が深い分野ですがフィルムが手に入る限り楽しみましょう〜。
uiti6さんは来年あたりにはパイロとか自家調合し始めてそうな予感。
Commented by まる at 2008-11-11 22:49 x
>赤血塩を利用した・・
これって俗に言う銀残しってやつですか?
現像定着後にハイライトブリーチを少しやってその後水洗のみでいいのでしょうか?
それとも現像定着後、フリーチ、再現像、水洗でしょうか?

Commented by typologies at 2008-11-12 12:01
まるさん、こんにちは。お久しぶりです。^^
上のプリントは本文中にも触れましたが、再現像&定着無しの
ブリーチ&水洗のみで作ったものです。強力にブリーチして
残留銀による発色を強く得られるようにする為にブリーチ前の
プリントは通常の倍くらいの濃度に焼いています。ちょっと濃
い位のプリントをブリーチするだけでは上の様にはなりません。
ブリーチの特性を考えた上でのかなり濃いプリントの用意が必
要です。
ちなみにブリーチ液は保存性がありませんので液を作ったら迅
速に処理しないといけませんです。
Commented by tosha at 2008-11-13 16:10 x
現像って幅がとても広いですよね。
知らない事が山ほどある、、ネガから紙に焼くまで考える事が山ほど。
本当に奥の深い作業でスキャンからウィーンでフォトショでちょこちょこ
ってやる方が確かに楽だと感じます。

自分で調合はしてないですけど、ほとんど科学実験の世界ですねw
Commented by Hologon158 at 2008-11-13 17:20
フィルム現像、引き伸ばしからマック導入までの歴史!
そっくりそのまま私の歴史でもあります。
私は、文章を書く仕事だったのですが、
大量の文書をブラインドタッチングで作成できる歓びもさることながら、
生まれて初めて、マック・クラシックのお絵かきソフト(Macdrawでしたか?)で、
9インチの画面上で、白紙にマウスでクロッキーをしたときは、思わず涙がこぼれました。
そして、今、白昼、こうしてカラースキャンをして、明室でプリントできる。
毎日、マックに感謝の日々です。
昔のモノクロームフィルムをこうしてアップされるお気持ち、よーく分かります。
私は、写真素人ですが、3600本の白黒ネガがケースに眠っています。
アップしたいのは山々なのですが、あまりにも写真の出来が悪くて...
Commented by typologies at 2008-11-16 20:15
toshaさん、こんばんは〜。^^
現像・プリントってちょっとした加減でどうにでもなるんで中々難しいですね。
プリント、最近はFOMAのシャモアをお使いになってるのですね。
あの紙、かなり使いにくいです。ベースに色や強い凹凸があるんで綺麗なトー
ンが出しにくいし反射のせいか黒の色味もガンメタル調。
でも表現の趣旨にぴしゃっとハマるとかなり良い物になるんですよね。
Commented by typologies at 2008-11-16 20:15
Hologon158さん、こんばんは〜。^^
おお、Hologon158さんも永いMacユーザーだったのですね。お仲間お仲間。
>>3600本の白黒ネガ
んん!、それは仕舞い込んでいるの勿体ないです!!!
是非Flickrとか使って回顧展?を!!!